ビジネスの教訓や気づきを得られる社長本まとめ

経営者の愛読書まとめ【偉大な経営者が人生で影響を受けた本 30選】

日本・海外の経営者30人の愛読書をまとめた記事のアイキャッチ画像

偉大な経営者たちには、ほぼ例外なく「人生を変えた一冊」があります。

その本との出会いが起業のきっかけになった人もいれば、会社が危機に陥ったとき支えてくれた本がある人も、何十年も読み返し続けているバイブルを持つ人もいます。

この記事では、日本・海外を代表する経営者30人が実際に語った「愛読書・影響を受けた本」を一人一冊ずつ、エピソードとともに紹介します。


近代の実業家(明治〜昭和初期)


渋沢栄一(第一国立銀行ほか約500社)

論語(孔子)

渋沢栄一は幼少期から父親に四書五経を手ほどきされ、生涯を通じて論語を経営の羅針盤にし続けました。「道徳と経済は対立しない、むしろ一致する」という渋沢哲学の核心は、孔子の教えから来ています。晩年に記した『論語と算盤』は、その思想を実践に落とし込んだ名著として今も読み継がれています。


松下幸之助(パナソニック)

老子(道徳経)

「水のように柔軟に、しかし岩をも穿つ」という老子の思想は、松下幸之助の経営哲学に深く刻まれています。「無為自然」の考え方、つまり力みすぎず自然の流れに沿って経営するというスタイルは、老子の影響を色濃く反映しています。松下は東洋古典全般に親しんでいましたが、その中心にあったのが老子の思想でした。


豊田佐吉(豊田自動織機)

二宮翁夜話(福住正兄)

「報徳思想」で知られる二宮尊徳の言行録をまとめた一冊です。「勤労・分度・推譲」の精神、すなわち働くことを尊び、分相応に生き、余剰を次世代に譲るという思想は、豊田佐吉の職人としての姿勢と深く重なります。豊田グループの工場に二宮金次郎の銅像が建てられてきたのも、この精神的つながりを象徴しています。


岩崎弥太郎(三菱財閥)

孫子の兵法(孫武)

幕末の動乱期を生き抜き、三菱財閥の礎を築いた岩崎弥太郎は、事業を「戦争」と同等の戦略行為として捉えていたとされます。「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という孫子の教えを経営に応用し、競合他社との激しい攻防を制していきました。当時の志士や実業家たちにとって孫子は必読書であり、岩崎もその一人でした。


安藤百福(日清食品)

菜根譚(洪自誠)

48歳で全財産を失い、無一文からチキンラーメンの発明に挑んだ安藤百福。その逆境に折れない精神の背景には、中国の古典『菜根譚』の影響があるとされています。「逆境は人を鍛える」「苦しい時こそ真価が問われる」という菜根譚の教えは、安藤の「人類は麺類」という発明哲学と深く共鳴します。


昭和後半〜平成の経営者


本田宗一郎(ホンダ)

マイ・ライフ・アンド・ワーク(ヘンリー・フォード)

自動車産業のパイオニアであるヘンリー・フォードの自伝で、本田宗一郎が若き日から尊敬してやまなかった一冊です。「ものを作るとはどういうことか」「技術者が経営者になるとはどういうことか」を体現した先人の記録は、本田が「やってみもせんで、何がわかるか」という精神でHondaを育てるうえでの大きな指針となりました。


稲盛和夫(京セラ・KDDI)

西郷南洲翁遺訓

稲盛和夫が「人生の指針」として最も大切にしてきた一冊が、西郷隆盛の言葉を集めたこの遺訓集です。「敬天愛人」──天を敬い、人を愛すること──という西郷の生き方は、稲盛の経営哲学の根幹に直接つながっています。JAL再建という大事業に臨んだとき、稲盛の心の中にはこの言葉があったといわれています。


小倉昌男(ヤマト運輸)

経営者の条件(ピーター・ドラッカー)

宅急便を創業し、日本の物流を革新した小倉昌男が経営の拠り所にしたのがドラッカーの名著です。「成果を上げるために、強みを生かせ」というドラッカーの思想は、ヤマト運輸の個人向け小口配送という発想の転換と見事に重なります。「顧客は誰か」を徹底的に問い直したその経営姿勢は、ドラッカーの教えの実践そのものでした。


永守重信さん(日本電産)

坂の上の雲(司馬遼太郎)

日露戦争を舞台に、明治の日本人が夢と情熱を持って近代国家の建設に挑む姿を描いた司馬遼太郎の大作です。「情熱・熱意・執念」を経営の三原則に掲げる永守重信さんにとって、小さな国が巨大な敵に挑み続ける物語は日本電産の快進撃と重なる部分が多かったといいます。28歳で3人の仲間と創業した永守さんの精神的な原点を感じさせる愛読書です。


似鳥昭雄さん(ニトリ)

現代の経営(ピーター・ドラッカー)

「のろまな亀」と呼ばれながら30年連続増収増益を成し遂げた似鳥昭雄さんが、経営の土台として繰り返し読んできたのがドラッカーの古典です。「事業の目的は顧客の創造である」というドラッカーの定義は、「お、ねだん以上」を掲げるニトリの顧客主義と完全に一致しています。ドラッカー理論を地道に実践し続けたことが、長年の連続増益を支えたともいえます。


平成〜令和の経営者(日本)


孫正義さん(ソフトバンクグループ)

竜馬がゆく(司馬遼太郎)

孫正義さんが「自分の生き方の原点」と繰り返し語ってきた一冊です。20代に肝臓の病で入院した際、3,000冊以上を読破した中で最も深く心に刻まれたといいます。「既存の秩序を壊し、新しい時代を切り開く」坂本龍馬の姿に強く共鳴した孫さんは、「志し高く」という言葉を座右の銘にしています。この本との出会いがなければ、現在のソフトバンクはなかったかもしれません。


柳井正さん(ファーストリテイリング)

プロフェッショナルマネジャー(ハロルド・ジェニーン)

柳井正さんが「これが私の愛読書だ」と明言し、今も繰り返し読み続けているとされる一冊です。米ITT社長として14年半連続増益という空前の記録を打ち立てたハロルド・ジェニーンの経営論は、「数字で語れない経営者は経営者ではない」という柳井さんのスタイルに直結しています。ユニクロのグローバル展開を支えた実務的な経営哲学がここに源流を持ちます。


三木谷浩史さん(楽天グループ)

葉隠入門(三島由紀夫)

「死ぬことと見つけたり」という有名な一節で知られる江戸時代の武士道書『葉隠』の入門書です。IT経営者のイメージとは対照的な選書ですが、三木谷浩史さんは「覚悟を持って生きることの大切さ」をこの本から学んだと語っています。楽天の事業拡大に際して何度も訪れた危機を乗り越えてきた背景には、この武士道的な覚悟の哲学があるといえます。


藤田晋さん(サイバーエージェント)

ビジョナリー・カンパニー(ジム・コリンズ)

「今の私があるのは、この本のおかげ」と藤田晋さんが公言している一冊です。「時を超えて成長し続ける企業」の共通点を徹底分析したこの経営学の古典は、インターネット黎明期に26歳でサイバーエージェントを創業した藤田さんに、「本物の会社を作る」という視座を与えました。AbemaTVやAmeba事業など、長期視点で事業を積み上げてきた経営スタイルはこの本に影響を受けています。


青野慶久さん(サイボウズ)

道をひらく(松下幸之助)

M&Aで大きな損失を出し「社長を辞めたい」と思い詰めていたとき、青野慶久さんを救ったのがこの本でした。「雷に打たれたようでした。『真剣』という言葉を見た瞬間、そうか、私にはこれが足りなかったんだと腑に落ちた」と青野さんは語っています。松下幸之助の随想集が、100人100通りの働き方を認める多様性経営へと舵を切る転換点になりました。


出口治明さん(ライフネット生命)

銃・病原菌・鉄(ジャレド・ダイアモンド)

「人類・本・旅」を学びの三原則に掲げる出口治明さんにとって、この本は「人類の歴史を俯瞰する最高の一冊」です。なぜある文明が他の文明を征服したのか、その答えを地理・環境・生物学で解き明かしたジャレド・ダイアモンドの名著は、出口さんが経営判断に歴史的視座を持ち込む姿勢の源泉の一つになっています。生命保険という長期的事業に向き合ううえで欠かせない思考の枠組みを与えてくれた本です。


山田進太郎さん(メルカリ)

ゼロ・トゥ・ワン(ピーター・ティール)

「メルカリも最初は『ヤフオクがあるから不要』と言われていた。ゼロから1を生み出す意味をこの本で深く考えた」と山田進太郎さんは語っています。PayPal共同創業者・ピーター・ティールのスタンフォード講義録は、競合が多い市場でどう独自の価値を生み出すかという問いへの答えを与えてくれました。メルカリの米国展開という「常識を壊す」挑戦の背景にも、この本の思想があります。


南場智子さん(DeNA)

ハードシングス(ベン・ホロウィッツ)

「経営者が本当に辛いのは答えのない問題に判断し続けなければならないこと」──シリコンバレーの起業家ベン・ホロウィッツが書いたこの本は、南場智子さんが推薦する一冊として知られています。会社の危機、人事の葛藤、追い詰められた判断の場面が赤裸々に描かれており、「楽になることより、正しく辛くあること」を学んだと語っています。DeNAがMobage事業やゲーム事業の荒波を乗り越えてきた姿勢が透けて見えます。


星野佳路さん(星野リゾート)

競争の戦略(マイケル・ポーター)

コーネル大学でホスピタリティを学んだ星野佳路さんが、経営の根幹に置く理論書です。「差別化戦略」「コスト・リーダーシップ」「集中戦略」というポーターの三つの基本戦略は、星野リゾートが赤字旅館を次々と再建してきたフレームワークそのものです。「すべての経営判断はポーターに立ち返る」と語る星野さんにとって、これは教科書であり生涯の指針です。


堀江貴文さん(ライブドア)

マネジメント(ピーター・ドラッカー)

「組織論や人材育成をゼロから学んだのはドラッカーから」と堀江貴文さんは語っています。20代で急成長する組織を率いなければならなかったとき、ドラッカーの「マネジメント」は経営の基本を体系的に教えてくれた一冊でした。「ダメな部下はいない、ダメなマネジメントがあるだけだ」というドラッカーの思想は、堀江さんが後に語る組織論の土台になっています。


前田裕二さん(SHOWROOM)

嫌われる勇気(岸見一郎・古賀史健)

アドラー心理学を対話形式でわかりやすく解説したこの本を、前田裕二さんは「自分の行動原理が整理された一冊」として挙げています。「過去は変えられないが、今の行動は変えられる」「他者の評価を気にせず、自分の信じる道を歩め」というアドラーの教えは、SHOWROOMという「夢の実現の場」を作り続ける前田さんの事業哲学に通じています。


前澤友作さん(ZOZO)

思考の整理学(外山滋比古)

ZOZOTOWNを日本最大のファッション通販サイトに育てた前澤友作さんが、発想の源泉として語ってきた一冊です。「頭の中を整理し、新しいアイデアを育てる方法」を平易な言葉で説いた外山滋比古の著作は、創造的な仕事をする人間として何十万人もの共感を集めた名著です。アーティストとしての顔も持つ前澤さんの「常識を疑う」姿勢と重なる一冊です。


宗次徳二さん(カレーハウスCoCo壱番屋)

生き方(稲盛和夫)

孤児として育ち、無一文から飲食業を起こした宗次徳二さんが、盛和塾での学びの中で特に深く共鳴した一冊です。「人間として正しいことを貫き通す」という稲盛の哲学は、宗次さんが「掃除・感謝・笑顔」を経営の核心に置く姿勢と完全に重なります。CoCo壱番屋が業界最大手になった後も質素な生活を続け、全財産を社会に還元した宗次さんのあり方そのものが、この本の実践です。


海外の経営者


ウォーレン・バフェットさん(バークシャー・ハサウェイ)

賢明な投資家(ベンジャミン・グレアム)

「投資の神様」バフェットさんが「私の人生を変えた本」と断言する一冊です。恩師ベンジャミン・グレアムが説いたバリュー投資の原則──「短期の価格変動に惑わされず、内在価値に基づいて投資せよ」──は、バフェットさんの投資哲学そのものです。19歳でこの本を読み、コロンビア大学でグレアムに師事することを決めたというエピソードは、一冊の本がいかに人生を変えるかを示す最高の実例です。


ビル・ゲイツさん(マイクロソフト)

ビジネス・アドベンチャーズ(ジョン・ブルックス)

ウォーレン・バフェットさんから借り受け、「20年以上経った今でも最高のビジネス書だ」と語り続けているのがこの本です。1960年代の実際の企業事例を通じてビジネスの本質を描いたジョン・ブルックスの傑作で、ゲイツさんは本の余白に書き込みをしながら繰り返し読む「精読派」として知られています。時代を超えて通用する経営の原理原則が、70年前の事例の中に凝縮されています。


スティーブ・ジョブズ(Apple)

禅マインド ビギナーズマインド(鈴木俊隆)

「初心者の心には多くの可能性があるが、専門家の心にはほとんどない」──この禅の教えは、ジョブズのデザイン哲学の核心です。禅僧・鈴木俊隆の著書との出会いが、ジョブズを瞑想と禅の実践に向かわせ、Appleの「シンプルさ」という美学を生み出す源泉になりました。iPhoneの洗練されたデザインの背景には、この一冊があるといっても過言ではありません。


ジェフ・ベゾスさん(Amazon)

ビジョナリー・カンパニー(ジム・コリンズ)

Amazonの社員教育テキストとしても活用されてきたほど、ベゾスさんが経営の教科書として重視してきた一冊です。「偉大な企業は時代を超えて成長し続ける基本理念を持つ」という主張は、ベゾスさんが掲げる「Day 1(常に初日の精神で)」の哲学に通じています。長期的視点でビジネスを構築するAmazonの姿勢は、この本が示す「ビジョナリー・カンパニー」の定義そのものです。


イーロン・マスクさん(テスラ・SpaceX)

銀河ヒッチハイク・ガイド(ダグラス・アダムス)

「人生の意味とは何か?」という究極の問いに、「42」という答えで笑い飛ばすSF小説です。マスクさんはこの本を「宇宙の巨大さと人間の存在の儚さを教えてくれた本」として紹介しています。「正しい問いを立てることが、正しい答えより重要だ」というメッセージは、マスクさんが電気自動車・宇宙開発・AIと、誰も挑まなかった問いに挑み続ける姿勢と重なります。


ジャック・マーさん(アリババグループ)

孫子の兵法(孫武)

中国最大のECプラットフォームを築いたジャック・マーさんが、ビジネス戦略の原点として語り続けてきた古典です。「戦わずして勝つ」「水のように形を変えよ」という孫子の思想は、アリババが巨大な競合と真正面から戦わず、プラットフォームとしての圧倒的な生態系を構築していった戦略と一致しています。マーさんは「孫子は企業戦略の本質を2,500年前に書き切った」と語っています。


マーク・ザッカーバーグさん(Meta)

アエネーイス(ウェルギリウス)

古代ローマの叙事詩で、トロイの英雄アエネーアースがいかにして新たな文明を築いたかを描いた作品です。ラテン語を学びこの詩を愛読したザッカーバーグさんは、「帝国の崩壊後に新しい秩序を作り出す物語」にFacebook(現Meta)の使命を重ね合わせてきたといいます。「人々をつなぐことで新しい文明を作る」というMetaのビジョンが、2,000年前の古典の精神と呼応しています。


まとめ

30人の愛読書を並べて見えてくるのは、いくつかの共通点です。

まず、古典が多いことです。論語・老子・孫子・禅・武士道…時代を超えて読み継がれてきた本を、現代の経営者たちも変わらず手にしています。ビジネスの本質は、時代が変わっても変わらないことを示しています。

次に、危機のときに読まれていることです。青野慶久さんの「道をひらく」、稲盛和夫の「西郷南洲翁遺訓」など、経営者が最も深く本と向き合うのは、追い詰められたときです。

そして、異ジャンルからの越境が多いことです。SF、歴史小説、武士道、禅…経営書だけが経営者を育てているわけではありません。

このサイト、経営者本ナビでは、各経営者が書いた著書のレビューも多数公開しています。今回紹介した愛読書と合わせてぜひご覧ください。